[NO "Futon", NO LIFE.]

小川楓太のはてなブログ

10年後テレビがのし上がる唯一のストーリー 〜スマートTVはテレビの敵だ!〜

AO入試の関係もあって「アルゴリズムによるパーソナライゼーション」俗にいうフィルターバブルについて考えている日々です。「フィルターバブル」って何という人は、イーライ・パリサーのTEDを見てください。

イーライ・パリザー:危険なインターネット上の「フィルターに囲まれた世界」 | Video on TED.com

 

僕は、TVとくにプラズマTVが大好きで、現在開催中のCEATECの記事なども熱心にチェックしています。たしか日本で一般人が初めて4K製品を見る機会だった、CEATEC 2011にも足を運んでいたぐらいです。どの会社もプラズマをやめてしまってパナソニックだけってのは寂しい限りです。パイオニアには撤退しないで欲しかったな。

僕がここでTVといっていたのはガジェットという物としての「テレビ」です。放送局から電波を受信して決まった番組を日本中の人が見ているという所謂テレビではありません。大画面のディスプレイガジェットとしてのTVは残るでしょうが、放送を受信してCMスポンサーにお金が入って視聴率が重要なテレビとテレビ局は、多くの人が指摘しているように今後なくなってしまうのではないかと考えています。

 

では、テレビにはインターネットが覆い尽くした世界において有用なサービスとしての再解釈可能性はもうないのでしょうか。

現時点ではないのかもしれません。しかし、10年後自分に適した(気持ちのいい)情報しか手に入らない環境がWeb上に形成されてしまった世界では違うかもしれません。自分の行動や思考、嗜好に合った情報にキュレーションされているWebとは違って、テレビは(どこの誰にとっても同じ)電波を映すというアーキテクチャに縛られているからです。パーソナライゼーションやキュレーションのしようがありません。アーキテクチャの原理上パーソナライゼーションできないという安心感が売りになる可能性は十分にあります。まるで震災で停電した時に黒電話だけは電気がなくても使えたように。

 

ただしこれには懸念もあります。スマートTVです。

Appleが開発中という噂の真打ちが登場するまではおもちゃみたいなレベルですが、AppleのTVはそんな甘くないと思います。たぶんCMとかもAppleを通さないと出せないような仕組みにして今まで周波数やリモコンのボタンの数の限界でテレビ局が独占していた広告料をすべてIT業界に流れるような仕組みにするのではないか、と予測しています。テレビ局は巨大なプラットフォーマーから巨大なコンテンツパブリッシャーに落とされるでしょう。

少し話がそれましたが、つまりテレビの「電波に乗った全国一律の放送を流す」という仕組み、つまりアーキテクチャが壊される可能性があります。もしそうなってしまえば上で述べた希望はなくなるでしょう。

 

結論としては、半端なデータ放送とかでインタラクティブなWebみたいな放送を目指すのではなく、テレビはトップダウンの全国一律放送を続ければ、10年後に人々に望まれてのし上がる可能性があるかもね、ってことでした。