[NO "Futon", NO LIFE.]

小川楓太のはてなブログ

生徒会大会雑感 ——国会参考人招致を受けるぐらいになって欲しい

昨年ぼくらが始めた「全国高校生徒会大会」が今年も行われるようです。去年は一泊二日でしたが、今年は二泊三日に拡大するようです。

 

 

昨年の様子(一日目) 

 

昨年の様子(二日目)

 

じつは今年の運営には去年の運営メンバーのほとんどが関わっていません。同じ人がやるとだんだんマンネリ化していっちゃうからです。そもそも、昨今の生徒会活動が全国津々浦々でマンネリ化していることを危惧して始めた(という説もある)生徒会大会自体がマンネリズムに取り込まれてどうするんだ、という話ですね。だから本来は「全国高校生徒会大会」という名前を引き継ぐだけで、その他は第一回のことを一切気にしなくていい、という方針でした。それは実行委員長の南藤が閉会式でも言っています。

 

 ぼくはもともと、この大会を通じて「全国高校生徒会連合」みたいなものを創って、教師と戦ったりロビイングをしたりしたかったのです。

さらに、可能であればメディアも立ち上げて、生徒会というネットワークを使った独自の取材網を駆使して、既存のメディアが入り込めないようなシビアで真実が隠され易い問題にも切り込めるようにしたかった。例えば、「いじめ問題」や「広島LINE殺人事件」のようなニュースも生徒会というネットワークを使えば意見を発信したいと思っている当事者やその近くの学生の声も拾い上げることができるのではないかと。それは企画していた2013年初頭に体罰Twitterで暴露した生徒が退学処分になった事件にも影響されていたでしょう。

もし実現されれば世界でも類をみない組織になったのではないかと思います。しかし、人との出会いは不思議なもので、ぼくと南藤が大会開催の3日前に(大会とは関係なく私的に)東京大学医科学研究所の上昌広先生と数時間ランチをしたときにふと「これは意味がないのではないか」と思ったしまったのです。それまではその組織を創るために数ヶ月を費やしてきたのに。はっきり言っていまでも論理的に「なぜそう思ったのか」を説明することはできません。その思いは南藤もまったく同様に抱いたようで、どちらが先に言い出したのかは忘れましたが、止めようという話になりました。

参議院議員会館の小会議室で他の実行委員にその旨を伝えるときに、論理的に「なぜ止めるか」を説明できなかったことには今でも申し訳ないと思っています。しかも大会の三日前に…。

 

そんなこんなで、たぶん今年実行委員をしている人たちは、そういうものを立ち上げようとしていたことすら知らない人も多いでしょう。ただの生徒会関係者の交流会・勉強会だと考えているかもしれません。

しかし、今年の生徒会大会はプログラムを見るに、まさに交流会・勉強会になっているように思います。ここで歴史が動くという気迫が感じられない。こういうことを先輩面して言うのは本当は良くないのも承知してはいるのですが、どうしても言わざるを得ない。

去年は日本初の(正確には分からないのですが、検索した限りでは世界初の)全国の生徒会関係者が一同に集まる大会ということで、NHK朝日新聞でも大きく取り上げてくれましたが今年は難しそうな気がします。それは端的に「事件」が起きる気配がないからです。もちろん喧嘩とか飲酒とか、そういう事件じゃないですよ。「ここからなにかが始まりそうだ」という事件です。

去年のキャッチコピーを、南藤が書いた文章からぼくが引用して「3月、東京。すべてはここからはじまる。」に徹底していたのもそれが理由です。

f:id:ogawa0071:20140115014619p:plain

 

例えば、元旦から朝日新聞で「教育2014」というコラムが始まりました(すでに朝日新聞とは太いパイプがあるのだからここにまだ載っていないということ自体も問題な気はしますが…)。元旦には、「第三の教育改革」がいままさに行われているという特集もありました。安倍政権教育再生実行会議も設置していますしね。その中でトップダウンではなくボトムアップでの改革も必要だとありました。教育が多様化しているのですから当然ですよね。

しかし、ボトムアップでいう「現場」には「現場の教師」しか含まれていない気がします。「現場の生徒」はボトムアップの重要なファクターではないのでしょうか。もし教育関連法案の国会参考人招致や専門委員会の委員としてまさに教育を受けている学生が呼ばれるとしたら誰がふさわしいのでしょうか。

 

公言するのはたぶん初めてですが、ぼくは全国高校生徒会大会を企画するにあったって、津田大介さんが代表を務める「一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)」を参考にしていました。

MIAUはインターネットやデジタル機器等の、技術発展や利用者の利便性に関わる分野における、意見の表明・知識の普及などの活動を行うことを目的として活動しているような団体です。津田さんが違法ダウンロード刑罰化の法案を審議するときに国会参考人招致を受けたり、文部科学省私的録音録画小委員会に委員として呼ばれているのは、ジャーナリストや個人の影響力もさることながら、MIAUで代表を務めていることが大きいのではないかと予想されます。

 

さて、教育問題で学生が参考人招致されるとすれば、最も適任なのは生徒会という教育機関に認められた活動の長である「全国高校生徒会大会の実行委員長」でしょう。ぼくは全国高校生徒会大会にはそれぐらいの覚悟とそれ以上に気概を持って欲しいと思っています。そして、せっかく議員会館でやるのだから現実にそうなるべきだと思います。

 

 

やっぱり、生徒会大会は一年に一回やる交流会に終わって欲しくないですね。

 

 

※1月17日追記

MIAUの話を出した意図が伝えきれていないと思ったので。

MIAUはその名の通りインターネットユーザーのためのものです。ユーザーが不利益を被る法律に反対する人たちですね。日本のインターネット人口は携帯電話の普及率と重なると見ると2014年には100%以上になるとみられています。MIAUは1億3千万人を代表するわけです。でもそれって、誰がやればいいのでしょうか。

全国高校生徒会大会も同じです。全国に約300万人いる高校生の代表は誰がやればいいのでしょうか。

これは同じ「代表し得ないものを誰がどうやって代表するか」という問題です。そのロールモデルとしてMIAUをぼくは参考にしました。