[NO "Futon", NO LIFE.]

小川楓太のはてなブログ

自称“Jelly厨”がTwitterの創業者が新しくリリースした「Jelly」の革新性を考察してみた


Introducing Jelly - YouTube

まずはこの動画を見て欲しい。

これが、Twitterの共同創業者であるビズ・ストーンがつい4日前、1月8日に新しくリリースした「Jelly」だ。

一見して分かる通りQ&Aサービスである。

 

Twitterの共同ファウンダー、ビズ・ストーンが新Q&Aサービス、Jellyをローンチ―秘められた目的を語る | TechCrunch Japan

ネットにはJellyに対する戸惑いと批判が渦を巻いている。これは主に、質問を短く制限し、問いかける相手もソーシャルネットワークでつながっている友だちという狭い範囲に制限するという仕組みが奇妙に思えることから生じたものだ。

というように批判もあるようだが、僕は「LINE」や「Vine」をサービス開始初日に使ったときと同じような革新性をビビッと感じ取った。

 

一言でいうと“ユーザーが積極的に解答したくなるUI”になっているということが革新的だ。

 

 

さてまず、Q&Aサービスとはなにか知らない人もいるかもしれないのでその説明から。

インターネットで物事を調べるには二つの方法がある。ひとつが検索、そしてもう一つがこのQ&Aサービスだ。機械に教えてもらうか人に教えてもらうかが大きな違いだ。だからある意味、メールやFacebookの投稿で何か教えてもらうのもミニマムなQ&Aサービス(を内包したサービス)だとも言える。あえて「ミニマムな」とつけたのは、解答が知人友人からしか得られないからだ。逆にQ&Aサービスは全く見ず知らずの人から解答がもらえるのである。それに加え、見る人が多いことも特徴で、多ければ数万数十万の人が見ることもあるだろう。

長々と説明してきたが、わかりやすく言えば「Yahoo!知恵袋」のことである。

 

実はこのサービス、最近とても盛んなのだ。そのわけは、まだ未開拓な分野なので成り上がれる可能性が残されているからではないだろうか。機械に質問をする検索の分野は飽和状態に近く、Google一強の牙城は簡単に崩せそうにない。音声検索やその音声フィードバックなんかが残された未開拓地のようだが、それも結局GoogleAppleなどの大手が技術を持ったベンチャーを買収して最終的にサービスに落とし込むというルーチンで開発されていくのだろう。

それに反して、人力検索とでもいうべきQ&Aには可能性が残っている。なぜなら、Q&Aサービスの性能はユーザー数に応じて(たぶんべき乗分布的に)上がるからだ。検索で用いられるアルゴリズムのように一定の性能を継続的に確保できる訳ではなく、性能が流動的になる。そのため、新しいものが好き、という人間の特徴を上手く利用すれば、新規参入のプラットフォームにも成り上がる余地があるのだ。その証拠に最近立て続けに新サービスがリリースされている。LINE Corporationの「LINE Q」、nanapiの「アンサー」、開始後すぐにサイバーエージェントに買収されたらしい「Qixil(キクシル)」などがその代表例だ。

そしてもうひとつ、先ほどの検索サービスにもじつはまだ大きな隙間がある。画像での検索だ。現状、まったく同じ画像がネット上にアップロードされていない限り、画像から検索することはほぼ不可能に近い。しかし、この画像検索は人力検索、Q&Aサービスとの相性は抜群だ。人間ならば一目見てわかることもコンピュータには案外難しい。それを逆手に取ったスパム防止策がCAPTCHAだ。これは端的に画像認識がコンピュータより人間に向いている、つまりQ&Aサービスに向いていることを示しているだろう。しかしこれまで、画像に特化したQ&Aサービスはあまり流行っていなかったように思われる。これは、カメラで写真を撮ってPCに取り込みアップロードするという手間が面倒だったからかもしれない。

  

しかし今日スマートフォンが普及し、画像のアップロードは簡単になり、インターネットに常時接続するユーザーも増えた現状を踏まえると、そのサービスの形も変わってくるように思われる。しかしながら、新しいサービスを開発することは難しく、なかなか真に使えるスマホ時代のQ&Aサービスは生まれなかった。

そんななか、満を持してリリースされた期待のQ&Aサービスが「Jelly」だという背景を持つが、具体的にどこがすごいのだろうか。冒頭でも示した通り、UI(ユーザーインターフェース、見た目・操作の仕方)が特徴的だ。

 

 

まず、Jellyで質問をする場合は必ず画像を付けなければいけない。9:11ぐらいの変わったサイズの写真だ。この写真と入力した質問を一緒にして投稿する。ちなみに何文字かはわからないが、字数制限もあるようだ。

こうして投稿された質問がスマートフォンの画面いっぱいに一枚ずつ表示されているので、答えたい質問に答え、答えたくない質問や興味がわかなかった質問、分からない質問はスワイプダウンして消していく。大抵の質問はTwitterFacebookで友達の友達ぐらいの距離の人がした質問だ。質問主から役立ったと思われたら「Thank You Card」というものが贈られてくるが、カードとは名ばかりでメッセージとかは付いてこない。質問主は何枚でもカードを贈れるので希少価値のあるわけではないが、なんとなく嬉しい。これがゲーミフィケーションというやつの効果だろうか。

 

実際に貰ったカードがこちら。 @mona さんから。

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貰ったカードの累計枚数もメニュー下方に表示される。

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このゲーミフィケーション的な効果も「ユーザーが積極的に解答したくなる」効果のひとつかもしれない。しかし、最大の動機付けは質問との出会いが一度きりということだろう。

Jellyの特異なUIにおいては、質問との出会いは一期一会で一度消した質問はもう二度と表示させることができないのだ。後から答えに気づいても教えてあげることはできない。しかし、別の質問を見るためには質問を消していかなければいけない。まさに「いつやるの、いまでしょ!」という感じなのだが、今しかその質問に答えるチャンスはないのである。

これが「ユーザーが積極的に解答したくなるUI」の秘密だ。何度でもやり直しのできる、何度でも試せるコンピューターの中だからこそ、あえて質問との出会いの偶然性・一回性を重用視したのだ。

ネタにネタで返したり、専門知識をフル活用したり…… どんな解答も今しかできない。「今しかできないから、今やる」の連続でどんどん解答してしまうのだ。普段学校なんてつまらないと言っているのに、いざ卒業式になると寂しくなる心理と似ているかもしれない。これが最後のチャンスだと思うとどうしてもやるせなくなってしまう、だから全力を出してしまう。それを上手に引き出す魔法のようなUIが現実に完成したことは奇跡としか言いようがないのではないだろうか。あたかも「LINE」のメッセージで使われる文字が1ptでも大きかったり小さかったりしたらヒットしなかったといわれているのと同じように。

 

そして、これはまさに、Twitter創業者が作るQ&Aサービスのあるべき形といえよう。

それは、

といわれているように、Twitterは物事の一回性を重視したWebサービスだからだ。

 

ぼくはこのサービスが必ずや「Instagram」や「LINE」、「Vine」などの一級Webサービスの仲間入りをすると確信している。なぜなら既にぼくがニコ厨ならぬJelly厨”になってるからだw

 

妙に熱っぽい文章になってしまったけれど、是非Jellyを試してみてください。実質的にもこんな感じですぐに解答がもらえるのでかなり便利ですよ!

ダウンロードはこちらから。